「パームフリー」とは?

身体にも環境にも悪影響を及ぼすパーム油の実態

パーム油は、コスメや化粧品、食品など、世界で最も多く使用されている植物油です。植物油と聞くとなんとなく自然派でエシカルなイメージを持つことが多いですが、実は真逆なのです。パーム油は安価で使いやすい一方、身体や環境にとって「良い油」とは言えません。今回の記事では、私たちの生活を取り巻く油の真実と、パームフリーという考えについてお話しします。

そもそもパーム油って?

パーム油は、「アブラヤシ」という植物から採れる植物油です。アブラヤシの果肉からはパルミチン酸、種から取れるパーム核油には飽和脂肪酸という成分が含まれており、どちらも多くの製品に使用されています。

アブラヤシは1年を通して実が成るので面積当たりの収穫量が他の植物油原料よりもはるかに多く、大豆油やなたね油と比べると約10倍もの生産量があります。そのため価格も他の植物油脂より安く、価格と供給がどちらも安定しているため、世界中の国がパーム油を輸入しています。

パーム油が使用されている製品

パーム油は私たちの身近にあり、無くてはならない存在となっています。一番多く使われているのは食品で、日本に輸入されるパーム油の80%を占めています。固形のパーム油は口の中でとろけるので、アイスクリームやチョコレートにも含まれるほか、酸化や過熱に対する耐性が強いという特性が生かされ、インスタントラーメンやスナック菓子、冷凍食品の揚げ油にも使用されます。

しかし、それらの製品に「パーム油」という言葉が使用されていることはごく僅か。植物油やショートニング、マーガリン、パルミチン酸、ステアリン酸、植物性脂肪などに名前を変えて表記されています。それらの食品を食べると、悪玉コレステロール増加、心疾患、生活習慣病、アレルギーを発症するリスクが高いことも報告されています。皆さんの身近にある食品やシャンプー、スキンケアの成分表に、パーム油由来の成分の表記があるかどうか、チェックしてみてください。これらの原料を使用している製品でリーズナブルなものは、パーム油由来のものが使用されている可能性が高いです。

Snow Fox Skincareの製品で使用する原料の成分は全てパームフリーです。
なぜなら、パーム油は健康への影響だけでなく、環境問題と人権問題でスキャンダルを巻き起こしており、エシカルとは程遠い原料であり、私たちの哲学に合わない原料だからです。

山火事、地球温暖化、環境破壊。

パーム油は人体への悪影響だけじゃない。

パーム油は一年を通して生産量が安定しているほか、安い価格で仕入れることができて様々な使い道があるので、私たちの生活に欠かせない油ですが、地球規模の環境問題に結びついている植物油であることもまた事実です。

アブラヤシから採れるパーム油の使用量は世界全体で増加していますが、アブラヤシ農園を開拓する為には森林を破壊しなければならず、それにより、大地を枯渇させ、動物の住処を奪い、空気や水路を汚染して気候変動を悪化させています。以下がアブラヤシ農園が引き起こす主な悪影響です。

その①森林破壊
パーム油の原料となるアブラヤシは赤道直下の熱帯地方のみで生産されますが、熱帯雨林と重なっているので、アブラヤシ農園を開発するためには熱帯雨林を伐採しなければなりません。ボルネオは、かつて1500万年以上も守られた低地熱帯雨林が広がっていましたが、アブラヤシ農園が開発され、わずか50年でボルネオ全体で40%もの面積が消失しました。森林破壊の排水により乾燥化が進み、甚大な火災被害をもたらしています。
他にも、大規模なアブラヤシ農園による環境への影響として、温室ガス排出や砂漠化なども挙げられています。マレーシアのサラワク州、パプアニューギニア、インドネシアのスマトラ島は、アブラヤシ農園による河川の水質汚染が深刻で、地元住民の健康と生活を脅かしています。

その②生態系の崩れ
パーム油の9割がインドネシア、マレーシアで生産されています。かつてその自然豊かな大地にはたくさんの動物が住んでいましたが、大規模な森林伐採によって多くの動物が森から姿を消しました。ボルネオ島のオランウータンは森林伐採が原因で、この100年で90%も減少しています。
住処を失った動物たちは絶滅の危機に瀕します。人間のエゴで森林が伐採され生息地を失い農園に侵入した動物は、害獣として駆除されてしまうという悲しい現実が起こっているのです。

その③人権侵害
アブラヤシ農園の開発により地域住民が住む場所を失い、土地の権利をめぐる紛争に発展。また、農園で働く人々は低賃金で厳しいノルマを課せられるほか、子どもが労働しているといった実態があります。

この悲惨なアブラヤシ農園の現状を変えるために、持続可能なパーム油のための「RSPO」という基準が設けられました。これは、パーム油産業をめぐる7つのセクターの関係者(パーム油生産業、搾油・貿易業、消費者製品製造業、小売業、銀行・投資会社、環境NGO、社会・開発系NGO)の全ての基準をクリアした、パーム油に付けられる認証マークです。パーム油がどのルートで製品化されているのかを明確にする国際的なルールです。みなさんが、サスティナブルでエシカルな方法で製造されたパーム油を使用した製品を選ぶ時ば、この基準をクリアしているかどうかが重要な判断基準となるでしょう。

シャンプーに多用されるパーム油

パーム油はシャンプーの原料としてよく用いられます。それはなぜでしょうか?
パーム油由来の成分は髪に潤いを与えながら、洗浄剤で油分や汚れ、フケを落とす働きがあります。さらには、植物由来であることから、メーカーが好んで使用してきました。そして好まれた理由もさることながら、これだけ広く使われている最大の理由は、その価格にあります。

この記事で述べているように、パーム油は安価です。収穫量が多いパーム果実から採取されるため、パーム油を使用している製品は原価を低く抑えられます。つまり、安価なシャンプーにはパーム油が使用されている可能性が非常に高いです。成分を見ると、ラウレス硫酸塩、サルフェート、高級アルコール系、ES、AESと記載されていますが、それらは全て合成界面活性剤で、ほとんどはパーム油が主な原料です。また、敏感肌の方はシャンプーが肌に合わない方が多いのですが、その方々にとってパーム油由来の合成界面活性剤は、頭皮に痒みが出たりフケの原因になることもあり、髪や肌へ直接的なダメージを与えます。

地球にも身体にも優しいSnow Fox Skincareの

「パームフリー宣言」

2022年2月の発売後、多くの方から反響をいただいているSnow Fox Skincareのシャンプーバーはパームフリーです。コストの面を考えると、パーム油を一切使用しないという選択は、美容業界では困難です。世に出回っているものは、ルーツをたどるとパーム油から採取した成分を使用している安価な製品が多いのが現実です。
しかし、Snow Fox Skincareは安全性が重視されているココナッツ由来のヤシ油を使用することにこだわり、創業当時から全ての商品でパームフリー精神で製造販売を行なっています。エシカルな製品づくりにこだわるには、100%パームフリーでなければ意味がないと考えているのです。

Snow Fox Skincareの創業者 フィービー・ソングは語ります。
「カルマに対する私の信念は仏教の哲学からきており、徹底してクリーンカルマです。私たちのブランドは非動物性原料を使用し、持続可能なパッケージを選択し、パーム油やパーム油誘導体を一切使わないことにこだわっています。美容業界は、製造業者や消費者が選ぶことで変わるのです。例えば、化粧品の動物実験は、単なる虚栄心のための最も時代遅れで不必要な選択肢のひとつです。」

シャンプーバーの環境への取り組みは、パームフリーだけではありません。Snow Fox Skincareのシャンプーバーは、通常のソープ製造段階で使用される水を一切使わないウォーターレス処方です。成分とアロマの芳香がギュッと濃縮された濃厚なバーができ上がると同時に、製造工程で水質を汚染しないブランド史上最高にエシカルな製品となっています。
可燃物として処理されリサイクル工程に入らない可能性が高い紙ではなく、よりリサイクルが確実で容易な缶をパッケージに採用しています。

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持続可能な製品を選ぶ。これからの未来のこと

皆さんのスキンケア、シャンプー、食卓に多く使用されるパームオイル由来の製品。
これを機に、その製品の成分や公式サイトの情報を見たりして、自分たちが知らないうちに環境破壊を促進していないか、考えてから商品を選択する勇気を一人でも多くの消費者の方に持っていただけたらと思います。

私たちにできることはあります。持続可能かつ倫理的なやり方で作られた製品を選んで購入することから始めましょう。消費者が購買習慣を通して持続可能性の価値を企業に認識させることができれば、変革のきっかけになるでしょう。

環境問題に取り組むことは、Snow Fox Skincareが大切にしているアクションのひとつです。自然を守りながら、安心・安全な製品を開発することに、これからも妥協はしません。

参考文献:

https://www.hurights.or.jp/archives/newsletter/section4/2020/07/post-201881.html

https://www.bctj.jp/3minutes-palmoil/

https://ourworld.unu.edu/jp/bali-declaration-calls-for-palm-oil-justice

https://cosmetic-ingredients.org/base/9328/

module=perpetual_scroll_0&pgtype=article&campaign=2182659

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